サンゴたちに負けない綺麗なシャコガイの魅力
マリンアクアリウムでは、シッタカやマガキなどコケ対策としての貝がポピュラーです。
変わったところではフレームスキャロップなども思い浮かびますが、
観賞目的で忘れてはならないのが今回ご紹介するシャコガイです。
シャコガイ類は熱帯性の二枚貝で、サンゴ礁が発達する岩礁域に生息しています。
通常は岩盤やハマサンゴのくぼみに貝殻を定着させて、美しい外套膜(がいとうまく)を見せています。
アクアリウム向けに流通するシャコガイ類のほとんどが、沖縄で食用目的に養殖されたものです。
養殖のものの中には岩盤付きの稚貝もありますが、多くは本体のみで販売されています。
シャコ貝類は長い時間を掛けて、体の裏側から酸性の分泌液をだして石灰質の岩盤を溶かす能力があります。
これによって、自然界下でのシャコガイ類は護身のため体ごと岩に埋まっているが、光を受けられるような外套膜だけをだしています。
一方ヒレジャコやオオジャコは、水深数mの浅い海底に無防備にある事が多いです。
シャコガイ類は外套膜にミドリイシ類と同タイプの褐虫藻(かっちゅうそう「共生藻ともいう」)を共生させており
その光合成によって生活エネルギーを得ています。
ミドリイシ等のSPSやLPS、ソフトコーラル、イソギンチャク等と同様に褐虫藻でエネルギーを得ているとは、意外ですよね。
したがって、シャコガイは太陽光が良く届く浅い海に生息しています。
褐虫藻と太陽光線によって外套膜にはシャコガイ類特有の美しい模様が生み出されます。
シャコガイの魅力はなんといってもこの外套膜の模様です。
模様のパターンや色彩は、シャコガイの種によって異なりますが、種類別にみればある程度決まったパターンがあることに気づきます。
また、シャコガイ類は種によって貝殻の形状や好みの定着場所が違うので、水槽で飼育する際はそれぞれの特徴をしっておくと良いでしょう。
シャコガイの仲間は今の所2属6種程知られています。
このうちシャコガイは外套膜が小さく、色彩的にも見栄えがしない為、観賞用として流通する事はほとんどありません。
最大種であるオオジャコも、その大きさ(成貝は1m以上になる。)から、水槽飼育に適しません。
一般的に観賞用として流通しやすく、美しいのが次の3種になります。
ヒメジャコガイ
学名:Tridacna crocea Lamark
最もポピュラーで、流通量が多い種。ブルー系以外のカラーバリエーションも多彩です。
ヒメジャコはシャコガイ類の中では最小で成貝の大きさは20cmを越す程度です。
流通している個体は、3~5cmの稚貝からレギュラーサイズの7~8cmまでです。
沖縄では食用とするため石垣島などでは養殖されています。自然下ではシュノーケリングで発見され2~3mの浅瀬によく見られるが、ハマサンゴや丈夫な岩盤に貝殻を埋めて、外套膜だけを見せている状態にあるため採集は困難です。(そもそも漁師以外の最終は違法行為とされる)。
岩盤に定着するシャコガイは、炭酸カルシウムを溶かす能力があり長い時間掛けて岩盤にめり込んでいきます。
アクアリウム向けに流通するヒメジャコは状態が良いためか、他のシャコが衣類に比べても丈夫で飼育しやすいです。
ただし一度定着したヒメジャコガイ足糸と呼ばれる細く無数の糸で体を固定するため移動するときにこの足糸をきってしまったり、殻の裏側を傷つけてしまうことがあります。移動させる時は足糸を切ることによって急激に弱ってしまう事があるので、出来るだけライブロックごと移動させるのがベストです。
ヒメシャコガイは、他のシャコガイ類よりも強い光を好みますので、メタハラ等の高光量の照明の使用がオススメです。
ヒレシャコガイ
学名:Tridacna squamosa Lamarck
貝殻のふちが波うち、ヒダが大きく発達しています。野生のヒレシャコガイは、貝殻の大きさが最大で40cmほどにまでなります。
アクアリウム向けに大型個体が出回るのはごく稀で流通はそれ程多くありません。
ヒレシャコガイは自然下では枝サンゴの群落の中に無造作にある場合が多く、ヒメジャコガイのように岩盤にめり込んでいません。
しかし、足糸は太く頑丈で、枝サンゴや岩盤にしっかり定着しています。
外套膜の色彩や模様には一定のパターンがあり、全体的に流れるような班が入るパターンが多いです。。
殻長が20cmを越す個体は、何らかの刺激で驚いて殻を閉じたときに噴水のように水を噴出するので、小さい水槽では照明に海水がかかるので注意が必要です。
シャコガイの仲間は、好条件下では1年に1~2cmは優に成長するので、稚貝から育ててみるのも面白いです。
弱った個体は、状態が悪化すると外套膜を目一杯開かなくなり、刺激に対する反応も鈍くなります。
さらに中心部分から徐々に白くなり始め、やがて死んでしまいます。大型個体ではさらに顕著なので、その前兆に注意しましょう。
シラナミガイ
学名:Tridacna maxima
貝殻の表面の凸凹はそれ程激しくなく、表面の様子だけ見るとヒメジャコガイに似ています。
ただし、貝殻の形状はヒメジャコガイにくらべてつぶれた感じで、横から見るとかなり楕円型になっているのが特徴です。
自然下ではヒメジャコよりも深いサンゴ礁に生息し、貝殻を半分だけ残して岩盤に埋没していることが多いです。
ヒメジャコのように盛んに養殖されていない為、アクアリウム向けの流通量は比較的少ないです。
野生下では、成貝は殻長30cm以上になります。
外套膜の美しさはマリンアクアリストの中でも評価が高く、ヒメジャコとは違ったパターンの色彩模様をしている。
ブルー系以外の色彩も豊かで、ヒメジャコにはないグリーン系や褐色でもメタリック感の強いものなどがありコレクション性が高い。
シラナミは採集時にダメージを受けやすく、水槽内ではややデリケートな面があります。
入手時や入荷直後の個体は避けて、水槽になれた個体を選ぶのが長期飼育の秘訣です。
また、シラナミガイはシャコガイ類の中でも最も広範囲に分布しており、国内では鹿児島県屋久島以南、太平洋はポリネシアからインド洋の東アフリカ沿岸にまで分布しています。
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