海水魚飼育【混泳の基礎知識】

海水魚を混泳させる場合の基本セオリー

海水魚の混泳

海水魚の混泳を上手くするには?

海水魚を飼育していれば、必ずと言って良いほど混泳という課題に直面します。

1種類づつ紐解いて知る事も大切ですが、先ずは混泳の基本理論を知っておくと比較的楽な海水魚飼育が出来ます。

混泳の基本を改めて見つめ直すことで、新しい混泳プランの可能性を発見できることがあるかもしれません。

海水魚の混泳基礎知識 ①「同種や同属の混泳は、争う事が多い」

海水魚の飼育を始めて最初に驚く方も多いかもしれませんが、海水魚は近い種類ほど争うことが多いです。

写真などでは同じ海水魚が群れて泳ぐことが多いので勘違いされがちですが、

外洋を群遊して大型魚の捕食から身をまもろうとしているイワシなどと違って、

私たちが飼育しようとしている海水魚は、サンゴの根元などに生息し、なわばりを持っていることが多いのです。

自然界では、その縄張りの中では限られたエサしか確保ません。

また、近縁種であればエサとしているターゲットも近い場合が多いです。

さらに、同種同属が近くにいれば、繁殖の為に異性を求めて争うことにもなります。

その為に、幼魚のときは争っていなくても、成魚になれば争ってしまう可能性もあります。

自然界では群れを形成して泳ぐことの多いハナダイ等でも、

水槽内という限られたスペースに収納されれば争ってしまう場合もあります。

限りなく広がる海と違い、水槽という狭いスペースの中では、

その中で生存する為の可能性を求めてお互いに争ってしまうと考えられています。

群れで泳ぐハナダイ

群れで泳ぐハナダイ

スズメダイを群れで入れると、小さく弱いものから順番に攻撃されて死んでいってしまうことがよくあります。

ハナダイも群雄しているイメージを再現したいところですが、水槽の中では争いがちです。

クマノミの仲間もペア以外のクマノミとは激しく争いがちです。

水槽の低床に生息しているハゼやジョーフィッシュなどの仲間も、

水槽の底に住んで自分自身の縄張りを持っていますので、混泳は難しいです。

ハギやアイゴ、チョウチョウウオやヤッコも、模様や食性の似た近縁種とは争ってしまいます。

逆に、テンジクダイの仲間や、ハナゴイの一部のタイプ、ハナハゼ、サツキハゼの仲間のように争わない種類も存在します。

海水魚の混泳は単純にルール化出来ない

例えば、同じ3匹のハタタテハゼを一緒に飼育する場合をイメージしてみましょう。

ハタタテハゼ

ハタタテハゼ

30cm水槽でその3匹だけを飼育する場合、3匹の間でおそらく争いが起こってしまうでしょう。

一番弱い固体は死んでしまうかもしれません。

しかし、これが90cm水槽だとどうでしょう。

更に大きな海水魚が入っている場合などには、3匹がお互いに身を寄せ合って泳いだりする可能性が高くなります。

このように、単純にハゼ3匹を泳がせる場合でも状況によって想定される事態は様々ですので、一概に言い切れるものではありません。

だからこそ、いろいろとチャレンジしてみて、経験を積むしかないのです。

海水魚の混泳基礎知識②「弱肉強食が自然界の掟。食べる食べられる関係性に注意」

どれだけ深く検討して注意しても混泳できる可能性が全くないのは、「食べる食べられる」の関係にある海水魚やサンゴたちです。

サンゴの食性のある海水魚の前にオオバナサンゴなどを置くと、もちろん食べられてしまいます。

カエルアンコウやカサゴなどの魚食魚と、彼らの口に入るサイズの海水魚やエビなどを混泳させるのもほぼ不可能です。

カエルアンコウ

カエルアンコウ

カエルアンコウに至っては、口が非常に大きく、自分と同じぐらいの大きさの海水魚であればパクリと一飲みにしてしまうことがあります。

相手が同じカエルアンコウであっても食べてしまうことがありますので、魚食魚を複数入れた混泳の場合で最新の注意が必要です。

長期間飼育していると、サイズの変化によりバランスが変わってきて、

飼育開始時は大丈夫であったのに、ある日突然食べられてしまう・・・何てこともあります。

その他には、ベラの仲間は小型の甲殻類を好んで食べる習性があります。

イソギンチャクに、クマノミ以外の海水魚が食べられてしまう事もあります。

この様に水槽内でも「食べる食べられる」の関係性に陥るアクシデントはかなりあります。

これらは工夫してどうなるものでもありませんので、

それぞれの海水魚の食性を知り、食べられないような海水魚同士を組み合わせるしかありません。

ただし、海水魚がサンゴを食べてしまう、という組み合わせに関しては、少し考える余地があります。

サンゴを主食としているタイプの海水魚は対策する方法は少ないです。

また、オオバナサンゴなどのLPSのように、食べられやすいサンゴも、対策する方法は少ないです。

しかし、サンゴ「も」食べるというタイプの海水魚なら、

しっかりと人工飼料で餌付けすることによってサンゴをあまり突かなくすることは出来ます

それでも、一度サンゴの味を覚えてしまうと、サンゴを好んで突っつく様になってしまいます。

その場合は、産後の入っていない水槽に移動させるしか対策がありませんので、

挑戦する際には退避させる用の水槽を準備されることお勧めします。

また、サンゴがダメージを受けて傷ついてしまっていると、

その傷から突くようになりますので、サンゴの状態を状態良く保つことも重要です。

海水魚の混泳基礎知識③「小さいから追われるとは限らない」

小さいサイズの海水魚が追いかけられるというイメージがありますが、そうとは限らなかったりします。

小型ヤッコの混泳の際には、海水魚のサイズが非常に重要になってきます。

性格が同じようなタイプの小型ヤッコなら、少しでも大きな個体の方が優位に立ったりします。

また、多少サイズが違うぐらいだと、強いほうが威嚇する仕草をみせると、弱い方の個体が服従する姿勢をみせたり、かるく逃げたりします。

小型ヤッコの場合は、サイズがほぼ同じで性格の強さも同等であれば、激しい争いになる事があります。

同じ種類の、同じぐらいのサイズの海水魚であれば同じようなものを食べますし、

仮に異性が近づいた際には争奪戦になる可能性が高いです。

そういった理由から自分の縄張りにいる、近縁種で同等のサイズの海水魚はなんとしてでも排除しなければならない対象と認識し、

激しい争いが起こってしまうのです。

しかし、それはサイズが近い場合に限り、極端にサイズが違う場合には攻撃対象にならないことが多いです。

十分に大きい海水魚が、小さい海水魚を執拗に追い掛け回す、といったことはありません。

これは「優しさ」ではなく様々な要因が競合にならず「攻撃する対象にならない」と考えられています。

ただし、大きな海水魚が攻撃しないといっても、小さい海水魚からすればプレッシャーに感じることもあるようで、

混泳に弱いハナダイの一部や、ハゼの一部などでは大型の海水魚に脅えてしまい、隠れたまま出てこない場合もあるようです。

個体それぞれの性質を観察して判断し、調整する必要があります。

基礎的な知識をベースに、個体差や組み合わせの相性をいかに見抜いて、

上手くバランスを取っていくかが、飼育する立場としての腕の見せ所になります。

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