カクレクマノミの繁殖にチャレンジ
カクレクマノミを繁殖するにあたってまずはカクレクマノミに合った繁殖のしやすい環境を作ってあげる
必要があります。
カクレクマノミの繁殖はプロブリーダーでなくても、大事なポイントと道具があれば
繁殖することは可能です。
カクレクマノミの繁殖はそこまで難しいものではなく、人それぞれ繁殖方法も違います。
カクレクマノミのペアリング方法
ペアリング方法は大きく分けて二種類あります。
カクレクマノミは人間と違い、オス、メスといった分類は存在せず
カクレクマノミの特徴でも触れていますが、カクレクマノミは成魚になった時に群れの中にいる
体の一番大きい固体がメスになり二番目に大きい個体がオスになります。
・上のことから、群れの中でペアは一組しか成立しないのでペアリングから
二匹のみ水槽に入れてペアリングする方法
・カクレクマノミにも相性があるので相性が合うものを探すため初めに水槽内には5~6匹ぐらいを投入して
自由にペアリングさせる方法の二種類があります。
どちらの方法でもペアを作ることは可能ですので自分に合った方法を選ぶといいでしょう。
どちらの方法もイソギンチャクを入れることによって繁殖しやすくなり、ペアになると
二匹でイソギンチャクの中に入るようになり、ペア成立を判断する材料にもなるので
イソギンチャクは入れることをお勧めします。
カクレクマノミのペアリングには他の魚がいても大丈夫なのか?
カクレクマノミをペアリングするときは基本的には専用の水槽ですることが好ましいです。
他の魚がいてもペアリングすることはできますが、クマノミの仲間などを入れると攻撃されることが多々あり他の魚の場合もカクレクマノミ自体が落ち着けない環境にある為基本はカクレクマノミのみでのペアリングをお勧めします。カクレクマノミの繁殖でペアリングが第一関門といえます。
産卵の準備
ペアリングの準備が出来たら、とにかく餌を食べるだけ与える様にして
産卵前に体力をつけてあげる必要があります。
また、産卵させる前は水も常に綺麗な状態を保つよう心がけ残り餌などは
綺麗に取り除いてあげましょう。
(産卵の環境)
・水温: やや高めの設定で27~28℃がベスト
・比重: 1.021前後のやや薄めの濃度
・照明: 照明時間は8~12時間を目安に明暗をメリハリをつける
ペアリングしてから産卵するまでの期間は個体の成熟期間や産卵経験の有無で変動します。
産卵経験がある場合や成熟期間が長い場合はペアリングしてからおよそ数週間~2ヶ月。
産卵経験がなく成熟期間が短い場合は、ペアリングしてから数年かかる場合もある為
気長に待つ必要があります。
(カクレクマノミ産卵間近の行動)
カクレクマノミが産卵間近になるといろいろな兆候が見えてきます。
・オスがメスに対して体をねじらせブルブルと震わす動作。
・オスがライブロックなどを口で掃除し始める。
・イソギンチャクの傘の下によくいる。
・明らかにメスのお腹が膨れている。
カクレクマノミの産卵から孵化
無事ペアリングが終えるとペアのカクレクマノミは産卵を始めます。
カクレクマノミの卵は鮮やかなオレンジ色をしています。
産卵する場所は個体によってさまざまでが基本的にはイソギンチャクの近くの触手が届かないぐらいの近くのライブロックによく産みつけることが多いです。
産卵する場所は他にもガラス面などに産卵する場合もあります。
孵化させるコツとして、温度や照明時間は産卵前と同じですが特に水流の向き、水流強さなどが非常に重要になってきます。
水流の強さとしての目安は卵が大きく常に揺られるぐらいで接着部分が取れない様少し強めの水流を当ててあげるのがベスト。
カクレクマノミは他の魚で産み付けた卵を捕食したりする種とは違い、捕食する心配はなく
メスが卵を産み付けるとオスが孵化するまでしっかりと世話してくれる為人間が手をくあえる
必要もありません。
卵は産卵後からおおよそ3~4日程経つと黒っぽく変色してきます。
そこから6~10日程で孵化します。
カクレクマノミは自然界では日が沈み暗くなってから数時間程度で孵化するそうなので
水槽の環境でも自然界と同じ条件を作ってあげる必要があります。
カクレクマノミの稚魚は孵化直後になると外の景色の明るさが分かる為常に明るい状態ですと
明るすぎて孵化できないということもあるので注意が必要です。
孵化させるコツ
・水温を常に27℃をキープすること
・照明時間は8~12時間で明暗のメリハリをつけること
・日々観察をし孵化するタイミングを見極めること
・予定孵化日当日は全く光が入らないようすること
孵化した稚魚の育て方
孵化した直後の稚魚は3~4mm程度のすごく小さいです。
稚魚が生まれたらフィルターや水流が強すぎる場所、エアーが強すぎる場所から安全な
場所に移動してあげましょう。
稚魚は虫かご(プラケース)で飼育します。プラケースは孵化するまでに用意しておきましょう。
稚魚のときはあまり大きな大きなケースに入れてしまうと餌お見つけにくくなるので
プラケース小~中ぐらいのもがベストです。
稚魚の飼育にも酸素(エアー)が必要になります。
ただあまり強いエアーを出すと水流が起きてしまうので水流が起きない程度の微量のエアーが出る
様に配慮が必要です。
また稚魚のときの温度管理が少し難しく成魚のように水槽内に直接ヒーターを入れてしまうと
容器内の水温が一定にキープされないため飼育している容器よりも大きな容器に水を張って
そこにヒーターを取り付けそのその大きな容器に漬けて温度管理をします。
親のカクレクマノミの水槽に漬けても大丈夫です。
生まれたての稚魚にはヨーサックという栄養の入った袋を付けています。
ヨーサックはオレンジ色をしていて腹部についておりこれが胃になるようです。
このヨーサックを付けているときは餌は必要なくヨーサックの栄養を餌にします。
このヨーサックが付いている期間は2~3日でヨーサックが取れた後は自ら餌を捕食する必要があります。
この孵化~3日の間の稚魚のことを(クリティカル・ピリオド)といいこの時期が一番死亡率が高いです。
一番多い原因として、孵化時に移動する際に掬ったショックや移動で環境の変化によるショックなどが一番多いようです。
稚魚を掬う時の注意点として、網などで掬って移動してしまうとほとんどの確率で全滅してしまいます。
掬うコツとして、小さな容器を用意してその容器で掬うのではなく、稚魚の方からその容器に入ってきてくれる
様なイメージで行います。
次に重要になってくるのが照明です。
光は生物が生きていく中で必要不可欠です。稚魚の時期は目があまりよくないので強い光を当ててしまうと明るすぎることで餌がが見えなくなります。特にこの時期は横からの光にすごく弱いのでぷらケースの
横部分はフィルムなどで暗くしてあげる工夫が必要になります。
またこの時期は照明の点灯時によってショック死してしまうこともあります。
このことからブリーダーさんの中では点灯時のショックを和らげるために孵化~1,2週間は照明を常に点けた状態にしている人もいます。
ですがこれをする場合は他に飼育している魚がいない場合のみになり、他に魚が居てる場合は眠りにつくことができないのでストレスを感じ最悪死んでしまいます。
またこの方法は水質の悪化にもつながるので注意が必要です。
稚魚の餌やり
孵化した直後の稚魚はすごく小さく3mmにも満たない個体ばかりです。
ですので餌も稚魚が食べることが出来る大きさの餌を与えてあげる必要があります。
稚魚の時に使用される餌はブラインシュリンプ幼生という餌がよく使用されます。
ですが孵化したばかりのカクレクマノミの稚魚には少し大きすぎる場合が多いです。
そこで使用される餌としてミツボシクロワムシ(ワムシ)が一番入手しやすく
カクレクマノミの生まれたての稚魚に適した餌になっています。
カクレクマノミの稚魚の大きさは他の小型魚の稚魚に比べて比較的大きい方で初めから
ブラインシュリンプで飼育することも出来ます。
それでもやはり自分程の大きさのあるブラインシュリンプを餌と認知しない場合もあり、認知したしたとしても食べれるぐらいの大きの稚魚はごくわずかになってしまいます。
その為、ワムシを使用した時t比べて成魚まで育つ成功率は低いです。
生まれて間もない稚魚はワムシから与えて徐々に成長につれてブラインシュリンプに
変更していく流れがベストです。
この時期の稚魚の視力は非常に低く5mm範囲内しか見えていないといわれております。
ということは、この5mm範囲内にワムシがいるようにしないと稚魚は捕食することができません。
ワムシの与える量として飼育水に10個体/mlの濃度になるようにします。
これは飼育水の水一滴に対して10匹いるという計算になります。
その後は常にその濃度をキープするようにし、減った分だけ足していきます。
またワムシも飼育水にクロレラが居ない限り食べるえさがなくワムシ自体に栄養がなくなって死んでいきます。 それを防ぐためには飼育水にナンノクロロシプスという植物プランクトンを入れてあげる必要があります。与える目安としては飼育水が少し緑色に変色するぐらいがベストです。
稚魚がワムシを捕食」すると、稚魚のヨーサックのオレンジ色が徐々に銀色に変色してきます。
お腹が銀色に変色してくるととりあえずは一安心です。
孵化してから15日ぐらい経過したぐらいでワムシからブラインシュリンプに餌を変更します。
ブラインシュリンプは1個体/mlを目安に与えるようにします。
ただし、ワムシからブラインシュリンプに変更する際は一気に換えず数日間ほどは両方のえ餌を与えるように
します。
おおよそ孵化から8~15日ぐらいを(変態期)と呼びようやくカクレクマノミらしい体色に変色してくる時期になります。
この変態期の時期もクリティカル・ピリオドの時期同様死んでしまう稚魚の多くは水質の悪化が原因になることが多いので一日数回の掃除はしてあげる必要があります。
*掃除をするときは下に溜まったゴミなどが舞わないように心がけます。
この変態期の時期を乗り越えると死んでしまう稚魚は数は激減してきます。
変態期もクリティカル・ピリオド期同様照明は24時間点灯していても大丈夫です。
15日以降変態期を終えると水面上で泳いでいた稚魚達は下の方に移動し始めます。
このときに成魚のように上下に泳ぐワッキングという泳ぎ方をまだマスター出来ていないため
泳ぎ疲れて横たわる稚魚も出てきますが死んではいないので心配の必要はありません。
またこの頃の稚魚達は塊を作りながら群れで泳ぎだす為とても可愛らしい姿を見ることが出来ます。
この姿は自然界では絶対に見ることの出来ないシーンだそうです。
稚魚育成のまとめ
・生物飼料を切らさないようしっかり観察すること
・生物試料の種類を急に切り替えず数日間は両方の餌を与えること
・掃除する際は下に溜まったゴミが舞わないように掃除すること
・水流やエアレーションはあまり強すぎず稚魚が流されないように調整すること
以上、カクレクマノミの産卵から稚魚の育成までに是非チャレンジしてみて下さい。
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