バクテリアとは?生物濾過とは?水作りの基礎となるバクテリアについてご紹介します。
生物ろ過に重要であるバクテリアについて、どれだけのことを知っているでしょうか??
バクテリアの性質をきちんと理解すれば、水槽はぐっと安定するはずです。
もくじ
バクテリアが担う生物濾過の基礎知識
生物ろ過を構成する要素は濾過槽・ろ材・水質・(水流)そしてバクテリア(細菌)の4つです。
この4要素のバランスが生物ろ過では大切な要件なのです。その中で、ろ材とバクテリアは特に重要な要素です。
一般的な水のろ過、浄化には、物理ろ過・化学ろ過・生物ろ過の3週類のろ過方式があります。これを三大ろ過方程式と呼んでいます。
これらの3つのろ過方程式の中でなんとなく分かりにくいのが、化学ろ過と生物ろ過ではないでしょうか。
化学ろ過は化学の基礎的な知識がないと、理解しにくいものです。化学のイロハからやり直すのは少し面倒だと思われるかもしれません。
しかし、どのような分野でも、基礎がしっかりしていないと必ずいきづまります。
生物ろ過は極小の世界で生きている、微生物類のバクテリアという生き物のお世話になって行うろ過です。生き物頼みですから、一筋縄には行きません。
ですから、バクテリアの生態を理解しないと、バクテリアが想像の生物になって余計にわかりにくくなり、苦戦します。
これに加え、生物濾過の主役であるバクテリアに関する情報は、観賞魚の分野ではここ十年ほとんど内容が変わっていないという事実も否めません。
そのために諸説が入り乱れている感じもあります。
現行では観賞魚の飼育に生物ろ過は欠かす事のできない装置ですから基本の基本に立ち変え再考にしてみたいと思います。
水槽に入れたほうがいまいち効果がが分かりにくといった感じを経験された方も多いのではないでしょうか。
見えない生物を使用するのですから、生物ろ過を効率よくろ過させるには、バクテリアという見えない生き物の基本的な生態を理解する必要があります。
目には見えないバクテリアをもっと知ろう
微生物は肉眼ではみることができない微細な生物の総称で
細菌、古細菌、藻類(従来は藻の仲間とし分類されてきましたが、現在はシアノバクテリアといって細菌に分類されています。)ウィルス、菌類、藻類、原生動物などが含まれています。
正確には、ウイルスは生物と無生物の、中間に位置づけされていますが、慣例上微生物の範囲に入れておきます。最近、古細菌、藻類は原核生物ですが、ウィルスを除外すると他の生物は真核生物になります。
アクアリウムの雑誌やインターネットの説明で、細菌が真核生物であるような記事が見受けられますが、ほとんどが原核生物になります。
球状、らせん状等細菌の菌体の大きさは平均的に1マイクロメートル前後ですから目に見えないもので、顕微鏡の世界の生き物です。
それゆえ、バクテリアの生態や特性を知った上で使用しないと、バクテリアの取り扱いを間違ってしまい、効果の出ないまま回してしまう事もあります。
飼育している、魚や生き物であれば水質、体表・餌の食べ方・泳ぎ具合で判断でき、対応ができます。
しかし、同じ水槽という環境に住んでいても、観賞魚や生き物を支えている重要な働きをしているバクテリアは見えないので何の対応もすることができません。
経験や、勘だといっても見えない生物には通用しません。かえって混乱を招き兼ねません。
バクテリアの基礎的なことがあまり理解されていないので、どう対応したら良いのか分からないのが現状なのではないでしょうか。
生物濾過はバクテリアの生理的機能を利用して飼育水の浄化に利用しているのですから、「バクテリア」の生態、特性、整理等をよく理解しないと、生物濾過を上手く機能させることは出来ません。
バクテリアを理解することが生物濾過の「キーポイント」であり、アクアリウムの永遠の課題です。
販売されている各種バクテリア製品の中には怪しいものもありますが、いずれにせよ生き物ですから、水槽にいれれば即効くと言う訳にはいきません。
バクテリアは体内で代謝や外部環境に左右されるので最低限「生育要件」に配慮しなければ、期待通りにバクテリアは働いてくれません。
バクテリアの構造を知ろう
バクテリア(原核生物)はもっとも原始的な形態の生命体といっても過言ではありません。
しかしバクテリアもただなんとなく生きているのではなく、より複雑な細胞を持つ生物と同様、基本的な生理的過程を行っています。
その細胞の中にはタンパク質を製造する化学工場(リボソーム)を持ち細胞膜の小さな穴から栄養素や空気を取り入れて生命維持を行っているのです。
また、バクテリア(細菌)は他の生物と同じように生命の設計図である遺伝物質「DNA」を持っていて、このDNAによって細菌固有の特性が子孫に受け継がれています。
DNAのメッセージを読みとり、同じ特性を持った子孫を作る機能も兼ね備えているのです。
「DNA」遺伝子とは、生物の形や性質(色や形などの特徴)を伝える因子。DNAは記憶する物質で遺伝子は一つのまとまった情報です。
バクテリアの生育環境は他の生き物の環境と同じで、常に変化していますかその変化に伴いバクテリアの活性度(元気度)もそのつど変化していきます。
生き物であるバクテリアも水槽水と外部環境やバクテリア自身の代謝の良し悪しで、その働き、動きは変化してしまいます。
バクテリアも生育環境に適していないと活性力は維持できません。これは魚も他の生き物も人間も同じです。
バクテリアという生物(微生物)を理解するために、その生命維持や増殖活のメカニズムを知り、生物濾過のオペレーションに役立ててください。
バクテリアの有機物分解や、アンモニアの分解、そして亜硝酸の分解による硝酸への以降も、バクテリアにとっては水の浄化を目的として行っている行為ではなく、生きていくうえでの手段であり、営みなのです。
その活動の結果が、人間にはありがたい行為になっているだけです。このような人間にとって有益に働いてくれるバクテリアを(善玉菌)と呼び有害に働く病原菌や腐敗菌などを(悪玉菌)などとよんでいます。
淡水はもちろんですが、なんと海水までも水換えを無しにした特許技術が最近公開されました。
発明(発見?)したのはなんと日本人!下の記事で紹介しています。
代謝
まず「代謝」という用語を説明して、バクテリアの働きに触れていきます。代謝とは生体内の化学反応のことで、体外から取り入れた物質(餌・栄養素など)から、他の物質(細胞など)を合成したり
エネルギーを得たりする作用のことです。代謝には同化と異化のふたつがあります。新陳代謝としては「解糖系」「B酸化」「TCA回路」「電子伝達系」などがあります。
このあたりの用語はバクテリアの生体内反応のことなので目を通す程度で良いと思います。
同化とは?
同化とは、体外から取り入れた物質を、生物にとって必要な物質に作り変える働きをいいます。
動物やその他の生物が食物として体内に取り入れた養分(栄養素)から体内を構成する物質を合成する働きや、緑色植物が炭酸ガスと水から有機物を作り出す光合成などを指します。
このような、光合成反応はエネルギーの低い場所から高い場所に物を移動するようなことなので、エネルギー的には起こりにくい反応です。
よって同化という反応には外部からのエネルギーを与える必要があります。そのエネルギーが光であったり化学反応による化学エネルギーだったりするのです。
異化とは?
異化とは同化した物質をより簡単な物質に分解する働きで、その代表が呼吸です。
呼吸では、糖や脂質などの有機物が分解され水や炭酸ガスなどの簡単な物質に変えます。
この反応は高い場所から低い場所に物を移動するときのようにエネルギー的tに起こりやすい反応です。異化では体内のATPに蓄えられていたエネルギが放出されます。
バクテリアの呼吸とは?
呼吸というと口で酸素を吸って「肺で息をする」と考える人が多いと思います。
間違えではないのですが、少し大雑把すぎます。
なぜかというと、呼吸には次の二つがあるからです。
1.外呼吸:体の外部表面や肺やエラなどの呼吸機関を通して、生物体と外界との間でガス交換
(O2とCO2)を行う働きをすることです。血管中の血液を介して行われます。
2.内呼吸:生体の組織細胞が養分としてとりいれた雪物を分解してエネルギーを取り出し、ATPを生産する働きです。細胞呼吸と言われます。
バクテリアは細胞呼吸であり、魚は外呼吸をしています。呼吸で分解される有機物を呼吸基質といいます。呼吸基質には糖質の他にタンパク質や脂質などがあります。
ATPとは何か?
アデノシン三リン酸の略。生物は有機物から取り出したエネルギーをATPというエネルギー化合物中
にいったん蓄え、必要に応じてその化合物ATPを分解し、その時に放出されるエネルギーをいろいろな生命活動に利用しています。単細胞生物のバクテリア(細菌)から多細胞の人間まで、全ての生物体にATPは含まれていて、エネルギーを蓄える働きをしています。
ATPを放出するエネルギーは、物質の合成や分解、能動輸送、運動など細胞が行う種々の生命活動に
共通して使うことができます。
細胞膜の能動輸送
細胞膜には、細胞外の液体との浸透圧に逆らって、特定の物質だけを通す働きがあり、
これを能動輸送といいます。能動輸送にはエネルギが必要でありATP(エネルギー化合物質)分解して使用します。
細胞膜の受動輸送
細胞膜の内外の物質に濃度差があると、濃度の濃い側から薄い側に分子やイオンが細胞膜を通して移動(拡散)する作用がおこります。
この現象を受動輸送といいます。受動輸送はエネルギーを必要としない物質の輸送です。
細胞膜は物質の選択透過性を示し特定の分子やイオンを通す半透膜ATPのエネルギー物質を使い細胞の内外の物質の反応に逆らって必要物質の出し入れをします。
好気性細菌・通性嫌気性細菌・嫌気性細菌
アクアリウムで重要とされるバクテリアを大きく3種類に分けると、
好気性バクテリア(好気性細菌)・通性嫌気性バクテリア(通性嫌気性細菌)・嫌気性バクテリア(偏性嫌気性細菌・絶対嫌気バクテリア)があります。
好気性バクテリア:その名の通り酸素を好むバクテリア。空気が少ないと死滅してしまいます。
通性嫌気性バクテリア:酸素があっても酸素が少なくても生存し、生息できるバクテリアです。
嫌気性バクテリア:無酸素状態に存在し、光も無い場所で生息します。酸素があると死滅してしまいます。
地球を手本にして考察した時に、地球上で最も多いバクテリアはどれか?と考えると答えは明らかです。
表面に好気性バクテリアが生存し、中間地点に通性嫌気性バクテリアが存在。
そして地球の海底や地中のほどんどが嫌気性バクテリアで成り立っている事がわかります。
水の惑星と呼ばれる地球の「水」を支えている存在。生命の根源である水を浄化しているのが、私たちの想像を超えた無数のバクテリア群です。
アクアリウムのみならず、このバクテリアの力を上手く活用する事が、良い水づくりの近道という事です。
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